在宅医療・介護連携とは
「在宅医療推進地域支援事業」について
1 背景
○急速な高齢化に伴う疾病構造の変化によって、従来の「病院で治す医療」から、よりQOLを重視した「地域全体で、治し・支える医療」への転換が求められている。
(「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」(平成25年8月6日))
○医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者を地域で支えていくためには、居宅等において提供される訪問診療等の医療(在宅医療)の提供が、地域包括ケアシステムの不可欠の構成要素となる。(「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(平成25年12月))
○こうした状況のなかで、在宅医療・介護の連携拠点の機能が市町村の介護保険法における地域支援事業の中に位置づけられるよう、医療法・介護保険法の法改正の手続きが進められた。
2 財源
○国の平成24年度補正予算に基づく地域医療再生基金を活用して県医師会が行うこととなった「在宅医療を推進する事業」の枠組みの中で、肝属郡医師会立病院の先行事例をモデルにして、県内5つの医師会(いちき串木野市、薩摩郡、曽於、姶良地区、大島郡)が県医師会からの委託を受けて実施。(期間は、平成25年10月から平成28年3月までの2年半。平成27年度末まで。)
○平成26年の通常国会で「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保法)が可決成立し、市町村は、平成27年度から地域支援事業に位置付けられる在宅医療・介護連携拠点事業に順次取り組み、平成30年度からはすべての市町村で実施することとなった。(小規模市町村では事業の共同実施を可能とし、都道府県による支援等も実施)
3 目的
○在宅医療は、医師に加え、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリ関係職種等多くの職種等によって提供される。これに介護関係職種を加えた多職種による真に包括的なケアのための協働・連携の体制を整えることが必要である。(「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(平成25年12月))
○本事業は、医療依存度の高い高齢者や認知症の高齢者等が在宅での療養を必要とした場合に、医療と介護が一体的に提供される仕組みを、大島支庁の協力の下、大島郡医師会と市町村並びに県立大島病院がスクラムを組んで奄美保健医療圏域の各地域に確立すること※ を目的としている。
※地域包括ケアシステム、「Ageing in place」(一人ひとりの住民が慣れ親しんだそれぞれの地域で老いていく過程において充実した医療・ケアを享受できる仕組み)を奄美群島の各島々に実現していくこと。
4 事業内容
【在宅医療推進事業の7つの課題】
~「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(平成25年12月))より~
A. 会議の開催(会議への医療関係者の参加の仲介を含む)
B. 地域の医療・福祉資源の把握及び活用
C. 研修の実施
D. 24時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築
E. 地域包括支援センター・ケアマネジャーを対象にした支援の実施
F. 効率的な情報共有のための取組み(地域連携パスの作成の取組み、地域の在宅医療・介護関係者の連絡様式や方法の統一
G. 地域住民への普及・啓発
○医療・介護サービスが一体的に提供される仕組みを構築するために、医療・介護サービスの提供者間、提供者と行政間など様々な関係者間の調整を担う拠点を医師会病院の地域医療連携室内に設置する。
○拠点の名称を「在宅医療連携支援センター」とし、専従スタッフを3名配置する。専従スタッフは、在宅医療推進チーム(医師会病院と虹の丘の多職種職員、行政職員などから成る)と協働して、在宅医療連推進事業の7つの課題に取り組むが、内容は大きく分けると以下の3つである。
① 多職種連携※の推進(「顔の見える関係」の構築・強化) A,C
・事業運営委員会(地域医療支援事業の企画立案・推進)の補佐
・地域在宅医療推進連絡協議会(地域の職能団体、介護保険関連団体、行政 の26団体で構成)の運営
・多職種向け講演会・研修会の開催、情報の発信 など
※かかりつけ医と専門性の高い診療科の医師(領域別専門医)との連携(診診連携、病診連携)を含む
② 在宅医療・介護提供者の支援 B,D,E,F
・資源情報の集約:ホームページの作成(情報共有システムの検討)
・困難事例の検討:在宅医療推進チームの活動
・相談窓口の設置:在宅医療連携支援センターの設置
・訪問支援の実施:在宅医療連携支援センターと在宅医療推進チームの協働
など
③ 地域住民への普及啓発 G
・市民向け講演会や自治会・老人クラブ単位の勉強会 など
●在宅医療の詳細につきましては、鹿児島県医師会在宅医療推進事業のホームページに記載がありますので、ご参照ください。